東京餃子通信

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石毛直道先生の「世界の餃子とその仲間」が熱い

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味の素食の文化センターが発刊する食文化を特集する季刊誌「vesta」の2011年8月号に「世界の餃子とその仲間」なる特集が掲載されていました。

この春に「餃子ロード」「麺ロードを行く」を読んでからというもの、ユーラシア大陸の餃子事情に興味があったので、私にとってはとっても熱い特集です。



本特集の責任編集をつとめるのは民族学者の石毛直道先生。

従来、単なる道楽的な位置づけだった食に関する研究を、学問のレベルまで引き上げて体系化してきた方です。

本特集では、中国の水餃子をはじめとして、東アジアから中央アジア、ロシア、ヨーロッパのユーラシア大陸全域での餃子に類する料理を各地域の専門化の方々が取り上げてます。




世界にはあまりにも餃子状の料理の多いのと呼び名がことなるため「餃子の定義をすることは絶望的である」とのこと。

そんな混沌とした餃界を分類していくと、中国語に起源する餃子がまずあげられるそうです。

第一にあげられるのがマントウ系列。
北京語では饅頭(マントウ)ですね。
朝鮮半島のマンドウ、トルコのマントゥ、ウズベキスタンのマントゥイ、新疆ウィグル自治区のマンタ、モルドバのマンティーヤ等々があげられるとのこと。

次はボーズ系列
これは包子(パオズ)からですね。モンゴルの蒸し餃子はボーズと呼ばれます。
世界の餃子とはずれますが、神保町のスイートポーズも包子からですね。

モモ系列というのもあります。
ネパールの蒸し餃子はモモと言いますが、これは中国語の饃饃(モモ)から来ているとのこと。
中国の山東省では、饅頭(マントウ)の事を饃饃(モモ)と呼ぶ地方もあるようです。

中国語以外を起源としている餃子っぽい食べ物としてあげられているのがインドのサモサ。
これは揚げ餃子ですね。
タジキスタンやキルギスタン、カザフスタンといった中央アジアでは、サムサと呼ばれ、エジプトやシリア、レバノンの中近東まで行くとサンブサと呼ばれるそうです。
こちらの語源はペルシャ語から来ているとのこと。

そして、東欧やロシアに目を向けると、また別の名前の餃子っぽい料理があります。
ロシアのペリメニは有名ですよね。
その他にも、ポーランドはピエロギ、バルト海周辺ではヴァレーニキという名称の餃子風の料理があるといいます。
この辺の餃子の特徴としてはサワークリームやヨーグルトなどを付けて食べるらしいです。
餃子ロードに出てきた、アフガニスタン料理のオシャクも乾燥ヨーグルトを付けるらしいですよね。

最後にあげられていたのがラヴィオリ系。
ラヴィオリも小麦粉で具を包むという意味では餃子に近い。ただし、作り方は他の餃子類とはことなり、二枚の皮で具をはさんでから型抜きをするため、餃子類として扱うかどうかには、石毛先生も悩まれておるようです。

名称を手がかりに餃子の仲間を眺めていくというのは非常に面白いですね。

実際に現地に行って食べてみたいものではありますが、まずは日本で食べられる各国料理店の探索にも力を入れて見たいと思います。

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