東京餃子通信編集長の塚田です。
スーパーマーケットで餃子の皮コーナーの近くや中華調味料のコーナーに必ず置かれている「餃子の素」。
どこのスーパーマーケットでも売られている割には、他の合わせ調味料と比べて認知度や実際の使用経験率がかなり低いのではないでしょうか?
私は子供のころから自宅で餃子を作る家庭に育ちましたが、これまでの40年以上の間、餃子の素を使った餃子を食べたことがありません。
唯一試したことがあるのは日清「どん兵衛餃子ラブ♡うどん」のスープの素ぐらい、、、
そんな訳で、私も含め皆さんが知っているようでほとんど知らない餃子の素の実力を確かめるため各社の餃子の素を食べ比べしてみることにしました。
今回試すのは、近くのスーパーマーケットを巡って見つけた
- ギョーザがおいしい!!ギョーザの具 味付け用(富士食品工業)
- 手作り餃子の素(モランボン)
- 大阪王将餃子の素(イートアンド)
の3商品。
この辺が主要製品の様です。
以前は味の素も餃子用調味料「Cook Do®」<手作り焼餃子用>という商品を出していたのですが今回は見つけることができませんでした。
今回は各社のパッケージに書かれているレシピや調理手順を忠実に再現しました。
まずは富士食品工業の「ギョーザがおいしい!!ギョーザの具 味付け用」から。
こちらには25~30個分の材料として
- 豚ひき肉:150g
- キャベツ:170g
- ニラ:20g
- 長ねぎ:30g
が書かれています。
材料はパッケージの表面にも書いてありましたがごま油、オイスターソースとニンニク、生姜がポイントの様子。
調理方法はなんと豚肉にキャベツとニラを混ぜるのが味付けよりも先。
粘り気が出るくらいまでよく練ります。
ここで餃子の素を取り出して、、、
味付けをします。
この時点で味見をすると、オイスターソースの風味を強く感じます。
餃子の素をまんべんなく混ぜたら餡の完成です。
味をなじませるために冷蔵庫で少し寝かせておきます。
続いてモランボンの手作り餃子の素。
ご存知、餃子の皮メーカーの大手の会社です。
こちらの材料は、餃子25コ分で
- 豚ひき肉:150g
- キャベツ:180g
- ニラ:30g
以上です。
富士食品工業とほぼ同じ材料ですが、ニラを使わないのが異なる点ですね。
調理方法も異なります。
野菜を混ぜる前のひき肉にすぐに餃子の素をかけます。
タレの味付けは、先ほどの富士食品工業のものと比べると、オイスターソースがベースになっているのは同じですが、鶏ガラだしの旨味とショウガの風味をより強めに感じました。
ひき肉にタレがよく混ざるよう、そしてジューシーな仕上がりになるように粘り気が出るまで混ぜます。
ここに、ニラとキャベツを投入して軽く混ぜれば餡の完成。
野菜を入れてからたくさん混ぜると、野菜から水が出てきてしまうので注意が必要です。
ラストは大阪王将餃子の素。
こちらは20~30個分で使う材料は
- 豚ひき肉:150g
- キャベツ:200g
のみ。
キャベツは水気を切ってから使います。
ニラも長ネギも使う必要がないそうです。
他の餃子の素と決定的に異なるのが、液体調味料と粉末調味料の2種類を混ぜて使う点です。
モランボン同様に、ひき肉だけの状態で味をつけていきます。
調味料を入れる順番は指定されていません。
特徴的なのは液体調味料の中にラードが相当入っていた点。
また、粉末側は顆粒の中華鶏ガラスープの素のような風味がしました。
そして、ひき肉だけの状態でしっかりと味をしみ込ませるために練り上げます。
練りあがった豚肉餡に水気を絞ったキャベツを軽く混ぜれば餡の完成。
野菜の材料がキャベツだけなので餡を作るのは大阪王将の餃子の素が一番簡単にできました。
大差があるわけではないのですが、忙しいお母さん達にとっては、ひと手間、ふた手間を省けるというのは重要なことですよね。
後は包んで焼くだけ。
皮はいつものようにモランボンの餅粉入りの皮を使いました。
皮と餃子の素のメーカーが一緒なので、モランボンが他の2社に比べて少し有利かもしれませんね。
皮を厚めのものを使ったのでそれぞれのレシピに書かれているよりは多めのお湯を使って蒸し焼きにします。
仕上げに油を入れて焼き目をつければ完成。
少し焼ムラが出てしまいましたが、ギリギリ合格レベルの焼き加減。
ちなみにこちらが富士食品工業の餃子の素。
富士食品工業の餃子の味は、なんとなく懐かしい子供のころに家で食べていた餃子のような味がします。
確かに母親の餃子レシピと材料がほぼ一致。
ニンニクに対して生姜の風味が弱いのが少し気になりました。
それと味付けは他の餃子の素に比べて控えめなので、酢醤油などの餃子のタレは欲しいところです。
注文はいろいろとありますが、家庭の餃子のレベルとしては十分すぎる味ではないでしょうか。
二回戦のモランボンの餃子の素の餃子は良く焼き気味に焼けてしまいました。
餃子を包みながら焼くと、焼きへの意識がおろそかになりますね。
今回食べ比べた餃子の素の中ではこちらが一番気に入りました。
生姜の風味が強いのが印象的です。
ニラの比率が高いのも私的には加点ポイント。
下味もしっかりついていてコクがあり、タレをつけなくても十分においしくいただけます。
もう少しジューシーに仕上がるように餡の混ぜ方を工夫したり、香辛料などで香りを工夫すれば、かなりのレベルに仕上がりそうです。
3回戦の大阪王将の餃子の素の餃子も少し焼ムラが、、、
ちゃんと焼いている間にフライパンを回してあげないとムラができちゃいますね。
大阪王将の餃子の素も家庭の餃子としては十分すぎる出来具合。
ラードの効果で3社の餃子の中では最もジューシー。
味付けも濃いめについているのも良いですね。
ただ残念なのは、生姜の香りが弱いのとニラを使っていない点。
特にニラについてはニラ好きの私としてはマイナスポイントです。
材料を増やすことは、餡作りの簡単さとのトレードオフな関係なので、商品企画者としては難しい選択だったと思われます。
最後に、3社の餃子の素で作った餡が少しずつ余ったのですべてを混ぜた餡を作ってみました。
少量だけ焼いたのがこちらの餃子。
もともと買っていた皮が足りなくなってしまったので、近くのスーパーで売っていた薄めの餃子の皮に変更。
ニラも入ったし、生姜も効いているし、味付けもしっかりしている。
悪くはないです。
が、抜群に旨いというわけでもない。
好みの問題だと思いますが、バランスって重要なんだなと改めて気づかされました。
皮を変えたことも影響しているのかもしれないですね。
最後に先日の沖縄旅行以降はまっている餃子のつけダレを紹介します。
お酢とコーレーグース。
普通の穀物酢にコーレーグースを数滴。
これで完成。
お酢とコショウ同様にお酢が油を落としてくれて、そこに適度にピリッとした刺激が加わります。
味のしっかり付いた餃子には非常にオススメの食べ方ですので、是非お試しを。
今回、餃子の素を使った餃子を使ってみてわかったことは、餃子の素は極力手をかけずにそこそこ美味しい手作り餃子を作りたいという主婦層に向けた商品のようです。
これまで「餃子が美味しく作れない」という主婦の方からの質問に対して普段の作り方を聞くと、概ね餃子の餡への味付けがほとんどされていないことが原因であることが多かったので、この問題は餃子の素を使うことで改善できそうです。
ただそうすると、スーパーで売っている、生餃子、冷凍餃子やチルド餃子といった焼くだけの商品に比べて優位点が少なくなります。
一方で調理の手間を省くことを第一にしているためか、味についてはどれももう一歩何か足りない感じがします。
もう少し手間を掛けてでも「お店で食べるような美味しい餃子を家庭で作りたい!」というニーズは少なからずあると思うのですが、現状はそのニーズを満たしてくれる餃子の素はなさそうだということに気づきました。
自分でも餃子の素を作ってみたくなったので、興味があるメーカーの方がいらっしゃいましたら連絡もらえればお手伝いしますよ!