東京餃子通信編集長の塚田です。
福岡出張ついでの福岡餃子レポートの流れから、さらに昨年のHASH#FUKUOKAの記事のために巡った福岡の餃子店を改めて紹介していきたいと思います。
今回ご紹介したい福岡の餃子店は博多の駅前にある「旭軒」。
福岡を代表する餃子専門店の一つです。
知名度でいけば福岡でNo.1かもしれません。
と言うのも福岡を舞台にする人気料理漫画「クッキングパパ」によく出てくる餃子店「一品軒」のモデルとなっているのが、この「旭軒」だというのが有力な説なのです。
ちなみにクッキングパパの記念すべき第1巻の表紙は餃子で、ここでも「一品軒」が登場します。
餃子が酒のツマミという位置付けの強い福岡では夜のみの営業の餃子店が多いのですが、こちら「旭軒」も夜のみ営業のお店です。
しかし、他の餃子店と「旭軒」が大きく異なるのがその開店時間。
夜から営業なのに開店時間は15時。
まだ明るい時間から営業を開始しています。
博多駅に近く、知名度も高いため出張で福岡に来た方が仕事終わりに寄ることが多く、要望に応えて15時開店になったのだとか。
出張の時って、その日の仕事が全部終わってしまえば、早くから餃子で一杯やりたいという気持ちになりがちですよね(笑)。
メニューはシンプルで、
- 焼餃子
- 水餃子
- 手羽先
- めし
- 味噌汁
と、ドリンクのみ。
一応、飲まずに餃子定食的に餃子を食べたい方向けにライスと味噌汁は用意されているようです。
福岡の餃子は全般的にご飯のお供向けではないので、迷わず瓶ビールを注文。
焼餃子、水餃子も1人前ずつ注文しました。
瓶ビールはキリンラガーの大瓶。
明るい時間からビールが飲める幸せ!
このグラスいいですね。
「餃子の店 旭軒」と記されています。
ビールを飲みながら餃子が焼きあがるのを待っていたのですが、目の前で山積みになっている手羽先がどうしても気になります。
せっかくなので一本だけいただくことにしました。
揚げ置きにされているので熱々でもないですしジューシー感も特にないのですが、なぜかビールが進みます。
適度に水分が飛んでいて、ビーフジャーキーのような感じのする手羽先です。
手羽先とビールを楽しみながら、来たる餃子のためにタレのセッティング。
調合済みの餃子ダレと赤の柚子胡椒が「旭軒」のスタイルです。
タレはお酢と醤油に加えて、ポン酢醤油のように若干柑橘系の爽やかな香りがします。
先に焼餃子が焼きあがりました。
お皿の上には一口サイズの10個の餃子と千切りキャベツ。
キャベツが添えられている餃子というのは珍しいですよね。
油を多めにつかって見事に揚げ焼き状態に仕上げています。
10個の餃子の焼き目に一切の焼きムラがありません。
これは凄いことですよ。
厚さが15mmもある鉄板を使って高温で焼き上げるのがきれいな焼き目をつける秘訣とのこと。
鉄板が厚すぎて、一度熱すると冷えるまでの1時間かかるのだとか。
手延べで伸びる皮を使っているので、ヒダは多く作らず圧着して形を整えることを意識した包み方です。
薄く伸ばしているのですがもちもち感もあるのも特徴です。
旭軒では餡の具材として野菜はキャベツに加えて玉ねぎを、肉は豚と牛の合挽肉を採用しています。
玉ねぎの甘みと牛肉の旨味が印象的です。
比率は違えど、福岡の老舗餃子店では、玉ねぎと牛肉はよく使われています。
戦後の福岡周辺の食糧事情からなのか、他の理由なのか、興味深い傾向です。
さきほどセットしたタレにつけて食べると、旨さ倍増。
柑橘系の爽やかな香りとお酢の効果で、焼き餃子の油っぽさが感じにくくなり、餡と皮の味がより引き立ちます。
隣同士くっついてしまった餃子は無理にはがして皮に穴が開いてしまうと残念なので、二個同時にいただきます。
二個同時に食べても、まだまだ一口サイズです。
続いて水餃子。
こちらも一皿10個入り。
手延べ皮のツルツル、プルプルっとした舌ざわりが印象的な餃子。
この餃子は水餃子にした方が皮の味や食感がより活きるような気がします。
水餃子にすると、餃子自体の味はよりあっさりした印象になるので、タレはたっぷりとつけていただきました。
焼き餃子が主役の店かと思いきや、水餃子の美味しさに驚かされました。
水餃子は皮が主役の料理だという事を再認識。
一口サイズであっても、これは変わりません。
メニュー構成からもわかる通り、長居をする店ではなく、餃子と手羽先をつまんでさっと変えるのが理想の使い方。
早い時間から開店しているので、夕方に旭軒によって餃子とビールで景気付けしてから中州に繰り出すもよし、逆に24時半ラストオーダーなので、飲んだ後の締めの餃子に立ち寄ってもよし。
福岡の一口餃子の楽しみ方を体現しているようなお店でした。
旭軒 駅前本店 (餃子 / 博多駅、祇園駅、呉服町駅)
夜総合点★★★★★ 5.0