東京餃子通信編集長の塚田です。
昨年5月に大阪北新地に開店した完全予約制の餃子専門店「ふか」を初訪問。
最近は東京餃子通信の活動もInstagram中心になっているのですが、短い文字数と写真の枚数では伝えきれない店主楠さんの餃子へのこだわりがつまったお店だったので、今回は久しぶりにブログを書きます。
北新地のANAクラウンプラザホテルのすぐそばのビルの地下に降りていくと、包丁をつかった看板がお出迎え。
ふかは、完全予約制の1人13,200円(税込)の餃子フルコース一本で営業されている振り切ったお店。
予約は18時と20時半の2回制。
お寿司屋さんのようにカウンター越しに楠さんともう一名の麺点師の方の職人技を眺めながら、13種類の餃子が楽しめるという夢の様な空間です。
ドリンクも、ビールに日本酒、ワインなど、ふかの餃子たちと相性の良いものを厳選しています。
まずはビールから。
シュマッツのラガービールを選びました。
長期熟成されたコクと香りのよいビールです。
ふかの餃子コースのスタートは、鰹と昆布の一番だしから。
この後でてくる餃子には、その餃子毎にあっただしが使われているとのことで、だしの基本でもある、鰹と昆布の一番だしでスタートする演出です。
大阪らしく真昆布と本枯節を使った上品なだしで、旨味はもちろんのこと香りが素敵で、この後の展開への期待が膨らみます。
続いて前菜にクラゲの前菜。
コリコリとした独特の食感が印象的なクラゲです。
餃子の一番手は、富山湾ホタルイカの蒸し餃子。
そら豆が練りこまれたウグイス色の皮の中には、ホタルイカと金華ハムと黄ニラと海老だし。
ホタルイカが丸ごと閉じ込められていて、イカの旨味と風味付けの柚子皮の爽やかな香りが印象的な餃子でした。
続いて白甘鯛の小籠包。
スープが透けて見えるほどの超薄皮。
一度炭火で焼いた白甘鯛がベース。
熱々スープは白甘鯛煮こごりから出てきたもの。
お椀にとってスープを一滴も逃さずにいただきました。
蝦餃も、広東料理の飲茶の蝦餃とはちょっと異なります。
車海老を使っちゃうところもすごいですが、加えてこしあぶらと春香うどが使われていて、ほのかな苦みに春を感じます。
ここで日本酒にスイッチ。
奈良のみむろ杉というすっきりした味の純米吟醸酒。
続いて焼き餃子が登場。
国産のマンガリッツァ豚のばら肉手切りでゴロゴロサイズ。
野菜はキャベツ、白菜、生姜、玉ねぎとオーソドックスですが、豚の脂の甘味が素晴らしく、非常に上品な味わいの餃子でした。
揚げ餃子も出てきました。
フランスパンなどにも使う準強力粉に水に加えてオリーブオイルなども使って練った揚げ餃子専用の皮。
サクサクっとしたものすごく軽い食感。
皮の中には、ゴーダチーズ、モッツアレラチーズ、パルミジャーノチーズの3種のチーズ。
うすいえんどう豆がアクセントになっていて、イタリアンと和食の間の様な風味の餃子でした。
ここまでで前半戦が終了。
お口直しということで、水出ウーロン茶。
そして発酵白菜を出してくれました。
適度な酸味が箸休めにちょうど良かったです。
後半戦は鰆のレアシューマイから。
卵黄を使った黄色い皮で包まれた鰆はほぼレアな状態。
「良い鰆が手に入ったので、レアな状態に仕上げてみました」と楠さん。
美味しいものを出したいという楠さんのこだわりが強く表れた逸品でした。
水餃子には桑名のハマグリと菜の花、新ごぼうが使われています。
春の美味しいものを皮でギュッと閉じ込めたような餃子でした。
柚子の香りも華やかな感じで良かったです。
箸休めとして自家製XO醤。
これは次の餃子にも使うとのこと。
次の餃子は、天然ホタテ貝の焼き餃子でした。
ホタテの貝柱、ホタテの白子、ホタテの紐と天然ホタテの余すところなくつかった餃子。
この餃子に先ほど出てきたXO醤をちょい乗せするのがお勧めとのこと。
干し貝柱で作ったXO醤とホタテの餃子の相性は良いに決まってますよね。
焼き餃子の後はまたまた箸休めで一旦リセット。
大和橘の果汁を練りこんだ、大和橘麺をいりこ出汁で。
口の中が一気に爽やかな風味になりました。
ここからメインディッシュの餃子が2品続きます。
まずは伊賀牛の水餃子。
伊賀牛のサーロインを割り下で味付けしていて、高級すき焼きを皮で閉じ込めたような餃子でした。
そしてこちらがメイン2品目。
気仙沼フカヒレ餃子です。
卵黄をつかった黄色の皮が映えますね。
気仙沼産のプルプルのフカヒレに加えて、鴨チャーシューとどんこ椎茸から出た旨味がギュッと濃縮された、超贅沢な餃子でした。
締めはモチ米シューマイ。
餡は本ツブ貝とごぼう。
羽二重餅米を肝で炊いて米にも風味付けをしている、手の込んだシューマイです。
上にかかっているのはカラスミです。
締めにもう一品追加して、XO醤茶漬け。
お腹いっぱいだったのですが、美味しくてサラサラっと食べられてしまいました。
デザートは杏仁豆腐とくるみ飴。
くるみ飴は香ばしくて苦みもあってとても美味しかったです。
このくるみ飴は人気になりすぎて、お土産での販売も始まったそうです。
それぞれの餃子の美味しさと美しさに感動の連続のフルコースでした。
2時間があっという間に過ぎてしまった様な感覚でした。
餃子が大衆料理だけでなく、高級料理でも勝負できるものだということを証明しているようなお店だと思います。
季節によって餃子のメニューを入れ替えたり、既存の餃子についてももっと美味しくなる工夫を常に探っているとのことなので、まだまだ進化しそうですね。
凄い挑戦をされていると思うので、今後も応援していきたいとおもいます。