東京餃子通信

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焼きギョーザは日本の「発明」である

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技術者向けの情報サイト「日経テクノロジー」に興味深いコラムが掲載されていたので紹介します。

「食文化とハイテク」という連載記事の第3回目のタイトルは「焼きギョーザの『新規性』と『進歩性』」

執筆者は、中国西安出身の徐航明さんというエンジニアの方です。

東京餃子通信でも、以前から海外の餃子や、海外で取り上げられる焼き餃子を紹介しながら、焼き餃子が日本で独自発展した食べ物で、世界の人々を魅了できるものだという事をうったえてきました。

中国出身の方が、日本の焼き餃子がいかにイノベーティブな食べ物なのかということを解説してくれたことが嬉しく、また技術者的な視点での整理の仕方が非常に面白かったので、東京餃子通信でも紹介したいと思います。


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徐さんによれば、来日当初は、日本の焼き餃子にはほとんど興味がなかったそうです。

というのも、中国にある焼いた餃子は「水煎餃」とか「水煎包」といったものや、余った水餃子を翌日焼いて食べるというスタイルのものがあるが、中国人からしてみると
いずれにせよ、中国の焼きギョーザは皮が厚い。そのため、焼いた後の食感が水餃子の食感に劣り、中国では、水餃子と比べて焼きギョーザは美味しくないと思っている人が多いのだ。
という評価のようです。


そんな徐さんも、その後、日本に滞在する中で日本の焼きギョーザの魅力にハマっていったようです。


この記事では、焼きギョーザというものが、「日本で発明された」ものであるということを解説しています。

発明の要件というのは「新規性」と「進歩性」の二点。この両方が満たされたはじめて「発明」と見なされます。

新規性とういう点では、下記の点が中国の水餃子とは異なるという事があげられています。
  1. 日本の焼きギョーザの最大の特徴は、煮るのではなく焼くこと。つまり、作り方、いわゆる「工程」が違う
  2. 「部品」となる皮は、水餃子と比べて非常に薄い
  3. 水餃子のように主食として20個も30個も食べるのではなく、おかずやつまみとして数個食べる(特に、ビールとの相性は抜群である)。すなわち、食べ方が違う

特に(3)については、日本の焼きギョーザだけしか食べていないと、なかなか気づかない視点。
中国出身の方ならではの指摘ですね。

次に進歩性という観点で、焼きギョーザについて徐さんはこの様に分析する。
日本式の焼きギョーザの誕生は、水餃子のもちもちの食感から、パリパリという新しい食感を生み出した。それが、それまでの餃子の世界にはなかった新しいジャンルを創り出し、水餃子とは大きく異なる新たな価値と感動をユーザーに与えたのだ。
日本人が、餃子を焼くという行為の中で、試行錯誤を重ね行き着いたパリパリの食感。これが新たな感動を読んでいるという。食感を重視する日本人ならではの感覚なのかもしれません。


最後に徐さんが非常に大切なポイントを指摘していたので声を大にして皆さんに伝えたいと思います。
餃子の中国語での発音である「JiaoZi」でも、餃子の英単語である「dumpling」でもない。日本式のGyoza(焼きギョーザ)は米国でも受入れられていたのだ。

アメリカや東南アジア、ヨーロッパ各地で焼きギョーザがGyozaとして普及をし始めています。

英語には焼き餃子を表す中国の鍋貼(グォティエ)を直訳したPot Stickerという言葉がありますが、実は日本語のGyozaの方が一般になりつつあるようです。

世界的にブームになっている寿司やラーメンに次いで、焼きギョーザが日本初の食文化として世界に広がっていく事を期待していますし、東京餃子通信でも何か貢献できたら嬉しいですね。