東京餃子通信編集長の塚田です。
昭和の代表するコメディアンで美食家でもあった古川緑波の『ロッパの悲食期』に収められているエッセイ『ああ東京は食い倒れ』の中に、戦後まもないころの餃子について書かれていました。
戦後はじめて、東京に出来た店にギョーザ屋がある。(中略)
僕の知っている範囲では、渋谷の有楽という、バラック建の小さな店が、一番早い。餃子の他に豚に爪だの、ニンニク沢山の煮物などが出て、支那の酒を出す。
此の有楽につづいて、同じ渋谷に、ミンミン(字を忘れた)という店が出来、新宿辺にも同じような店が続々と出来た。
新宿では、石の家という店へ行ったことがある。
渋谷の有楽も、珉珉もこの10年ぐらいで両方閉店になってしまったので、ロッパが食べた餃子を食べることは出来ません。(珉珉は、赤坂、四谷三丁目、武蔵小山に暖簾分け店があります)
そこで新宿の「石の家」を訪れることにしました。
石の家
アクセス:東京メトロ副都心線新宿三丁目駅E9口 徒歩1分
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿3-35-4 ユーコービル中B(地図)
こちらも創業60年を超える歴史のある中華料理店なのですが、店構えに老舗感は全くありません。
普通の中華居酒屋の雰囲気。
気取らないのが長く続く秘訣なのかもしれません。
新宿のWINSの近くということもあり、休日は競馬中継をやっているようです。
そして、なんと週末限定の「競馬セット」なるメニューが。
1000円でヤキソバと餃子、そしてドリンクのセットが食べられます。
これは超お得。
店内に入ると競馬中継がやっていました。
お客さんもほぼ全員馬券を買っているのか、テレビに釘付けです。
競馬セットを注文し、ドリンクは生ビールを選択。
すぐに運ばれてきます。
店内を見回すと、しじみの老酒付など魅力的なメニューも色々有ります。
台湾系の料理が得意なのでしょうか。
続いてヤキソバがやってきました。
ものすごく麺が太い。ぱっと見は焼きうどんと思えるぐらいの太さです。
味付けはサッパリと醤油味。
なかなか食べ応えのあるヤキソバです。
そして焼き餃子の登場です。
焼き目はやや薄め。もう少しカリッと行って欲しいところではあります。
かなりの薄皮で、皮の大きさ通常の餃子より一回り大きいです。
大きな皮でフワッと餡を包み込んだ感じの包み方です。
餡はキャベツとニラ、ニンニク、ネギを細かく刻んで豚肉と一緒に練り込まれています。
包み方が優し目なので、口の中でほろほろっと崩れていく感じの餃子です。
味付けは、ニンニクがしっかり効いています。
食感も味付けも、昔ながらの懐かしい感じのする餃子でした。
戦後の闇市で賑わったころの新宿から、変わらず提供され続けた餃子なのでしょうね。
そんなノスタルジーに浸りながら餃子を食べるのも、一つの楽しみ方です。
新宿という立地で1,000円で満腹かつほろ酔いになれる店は、とても貴重なのでこのまま長く残って欲しいですね。
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