東京餃子通信編集長の塚田です。
先日、餃子の食べ歩き仲間にお誘いいただき、幡ヶ谷の「ペリメニキッチン」を訪問してきました。
幡ヶ谷駅から徒歩10分弱。商店街から路地を一つ入ったところにお店はあります。
入口には満席の看板。
我々のグループの予約でいっぱいだったようです。
ペリメニキッチンは、おそらく日本で唯一のペリメニ専門店。
ロシア料理全般ではなくペリメニ専門のお店です。
世界の餃子風料理も追いかける私にとっては、こういうお店が増えるのはうれしいですね。
店主さんはペリメニを餃子と言われるのが好きではないようなので、今回は「ロシア風餃子」という表現は控えたいと思います。
お店は店主さんが一人で切り盛りされていて、カウンターが7席に4人掛けのテーブルが1つと、かなりコンパクトなつくりです。
カウンターの上にはマトリョーシカが並んでいました。
せっかくRussian Dumplingsのペリメニを食べに来たので、ロシアのビールでプレ乾杯。
バルティカ3と9があったので飲み比べをしてみました。
ロシアにでは色んな番号のビールがあるらしいのですが、日本で手に入るのはこの二種類のみ。
3はかなり軽めの味わいで暑い日にゴクゴク飲むのに向いてそう。
一方9はアルコール度数も8%とかなり高め。
味も比較的しっかりしています。
この日のメンバーが全員揃ったところでスパークリングワインで乾杯。
画だけ見るととってもオシャレ。
バルバディージョ ベータ エスプモーソというスペインのスパークリングワイン。
シェリー酒を作る醸造所なのですがワインにも積極的に取り組んでいるのだとか。
とても香りが良くすっきりと飲みやすく乾杯に丁度良いですね。
ペリメニに入る前に鰊のマリネから。
酸味も塩加減も丁度良い。
いきなりお酒が進む料理ですね。
続いて野菜のスープ。
普段は締めに出すらしいのですが、この日は少し肌寒かったので胃を温めるために先に出してくれました。
野菜を煮出す順番にもこだわっています。
手間をかけて丁寧に作れば野菜の旨味だけでこんなにしっかりした味になるんですね。
さてここからは主役のペリメニです!
と、その前に次のドリンクへ。
店主さんに勧められたのがミード。
ミードというのは蜂蜜酒。
14000年前に生まれた世界最古のお酒と言われています。
ハネムーンの語源にもなっているらしいですね。
私は今回初めてミードを飲みます。
初ミードは福島県の蜂の雪酒造がつくる国産ミード「aizu mead」。
トチの花の蜂蜜と会津の水を使って作られています。
そして、ミードはワイン酵母を使って醸されるのが一般的なのですが、蜂の雪酒造は日本酒の蔵元らしく日本酒酵母が使われています。
蜂蜜酒ということで甘いお酒なのかと思いきや、意外とすっきり爽やか。
確かに蜂蜜の香りは感じますが、日本酒っぽい風味もあります。
これはハマりそうな味です。
そしてペリメニの登場。
最初は豚肉のペリメニから。
ペリメニは極寒ロシアの料理なので、冷凍保存が基本。
メリメニキッチンでも事前に包んだペリメニを冷凍をして、食べる直前に温める。
仕込みの手間はかかるものの、お客さんのオーダーが入ってからはあまり手間がかからないため一人営業も可能なのだとか。
「麺料理としてのペリメニを楽しんで欲しい」と、生地は国内外のいろんな小麦粉を試行錯誤するなかで、今の小麦の配合にたどり着いたそうです。
生地作りはかなり手間がかかり、明け方まで続くこともあるとのこと。
ペリメにはサワークリームに絡めていただきます。
このサワークリームも実は店主さんの手作りで、サワークリームの出来に納得いかずにお店を開けなかったこともあるそうです。
こだわりのペリメニの味はというと、、、
とにかく皮の弾力があってモチっとした食感が素晴らしい。
豚肉餡はあくまでも皮の引き立て役です。
一つのサイズが小さいので、パクパクと食べてしまいました。
皮を伸ばして包むのは時間のかかる作業ですが、食べるのはあっという間。
ペリメニ作りは大変な仕事ですね。
ペリメニのお供にライ麦パンを出してくれました。
なんとこちらも手作り。
強い酸味と香りが印象的でした。
お皿に残ったサワークリームをパンですくって食べるとこれがまた旨い。
もったいないのでサワークリームは一滴も残してはいけません。
続いて羊肉のペリメニ。
見た目は豚肉のペリメニと全く同じですが餡が異なります。
ベーシックな風味の豚肉餡と比べると、羊肉の独特な香りが特徴的。
私は羊肉が好きなので、かなり気に入りました。
次のペリメニに進む前にミードをもう一種類。
先ほどと同じ蜂の雪酒造が作るオレンジの花の蜂蜜をつかったミードです。
先ほどのトチの花のミードよりも、色も濃く、蜂蜜感が強かったです。
続いてのペリメニの餡はエゾジカ。
赤身の部分を中心に使っているからか皮の色が若干赤身がかっています。
さっぱりしていて旨味が強い。
鹿肉はペリメニどころか水餃子に入っていることも珍しいですが、小麦の皮との相性が良いですね。
続いてロシアを離れてジョージアのヒンカリ。
ワインが生まれた地域でもありますね。
本場のヒンカリはとても大きくて食べ応えがあるのですが、ペリメニキッチンでは色々なメニューを食べてもらいたいと、敢えて小さめのヒンカリを作っています。
皮はペリメニと作り方を変えていて、これまた手間をかけて作っています。
餡は豚肉、牛肉、玉ねぎをベースに、イタリアンパセリやコリアンダーを使って香り付けをしています。
そしてヒンカリにとって重要な材料が水。
餡に水を混ぜると肉の旨味が溶け出して、皮の中に旨味たっぷりのスープが満たされます
このため小籠包のようなジューシーさ。
ペリメニキッチンのヒンカリも過剰な演出はしてませんが、バランスの良い適度な肉汁が楽しめます。
最後にみんなでシェリー酒の飲み比べ。
醸造所や年で全然違うのが面白いですね。
シェリー酒=食前酒というイメージが強かったですが、ワインのように幅広い楽しみ方ができるお酒だということを再認識しました。
シェリー酒の飲み比べていると、店主さんから「もう少し食べられます?」とのお声掛け。
少量ずつであれば、ペリメニがもう一種類出せるとのこと。
せっかくなのでそちらもいただくことにしました。
当然ながら見た目は先ほどまでのペリメニと同じです。
あっさり風味のペリメニということですが、一体なにが入っているのでしょうか?
こちらは玉子と鶏肉の親子ペリメニでした。
とってもあっさりとしていて締めペリメニとしては丁度良かったです。
ペリメニを食べる順番まで演出のうち。
細部まで店主さんのこだわりが行き届いています。
今回はペリメニを4種類楽しみましたが、常時3種類ぐらいは仕込みをしているとのこと。
ペリメニ自体は中国の水餃子と同じように、皮が主役のため中に入れる餡に決まりはなく、これまでも牛肉や鴨肉といった肉以外にも、魚やキノコをつかったペリメニなども色々と試しているそうです。
研究熱心な店主さんなので、今後もどんなペリメニが生まれてくるのか楽しみですね。
マニアックな話が好きな方は、店主さんのトークも楽しめると思いますので、ぜひ色々と聞き出してみてください。
ペリメニ キッチン (ロシア料理 / 幡ケ谷駅、初台駅)
夜総合点★★★★★ 5.0