東京餃子通信編集長の塚田です。
ちょっと前になるのですが神戸に行ってきました。
神戸といえば味噌ダレで食べる焼き餃子で有名ですが、その発祥の店とされる「元祖 ぎょうざ苑」に久しぶりに伺ってきました。
昭和26年創業の「元祖ぎょうざ苑」は、今では三代目店主の頃末灯留さんが営んでいます。
灯留さんは、創業者の孫にあたる方。
満洲でレストラン経営をされていた、創業者の芳夫さんが現地で食べた餃子を日本でも販売しようと、神戸の町で「元祖ぎょうざ苑」を開業されたそうです。
満洲時代から味噌だれも使っていて、その食べ方を日本でも踏襲したところ話題となり次第に神戸の他のお店でも使われるようになったのだとか。
「元祖ぎょうざ苑」の味噌だれのレシピは一子相伝で祖父から父親に、そして父親から灯留さんに引き継がれ、今でも創業当時の味を守っています。
味噌だれは、そのままタレとして使うのではなく、醤油と酢、ニンニクなどを使って個人の好みに合わせてブレンドしてタレを完成させます。
これも神戸餃子の楽しみの一つ。
今回は、お店のおススメの配合に倣って、味噌だれ2:醤油1:酢1にニンニク少々というバランスでタレを作ってみました。
早速焼き餃子を頂きます。
タレの他のもう一つの特徴は皮。
「元祖ぎょうざ苑」では皮も自家製。
今でも手回しの製麺機で薄く伸ばし、丸く打ち抜くという手順で餃子の皮を作っています。
この皮の作り方は日本から満洲にわたった人たちが良く実践していた方法のようです。
また、餃子を焼くときにピーナッツ油でカリッと焼きます。
サラダ油よりも香ばしい香りが引き立ちます。
しっかりした皮で包まれた旨味の強い餃子餡。
実はこの餡は、三代目の灯留さんが初代のレシピを改良して、今では少量の神戸牛を足しています。
餡の材料というよりも調味料として旨味を足すために入れているとのこと。
牛肉の効果で味噌だれに負けない強いコクと旨味が出せているのだとか。
元祖ぎょうざ苑の餃子は皮がしっかりしているので揚げ餃子にしても美味しいです。
焼き餃子のよりも熱々、サクサクに仕上がります。
揚げ餃子はビールのお供に最高ですよね。
続いてスープ餃子。
茹でると皮の弾力がより強く感じられます。
餃子餡にニンニクが入っていないので、水餃子にも向いていますね。
そして平日の夜にしか出されない特別メニュー「神戸牛餃子」。
6個1,800円と超高級価格。
通販でも提供していて贈答品にも使われるそうです。
これで1,800円。
ぱっと見は普通の焼き餃子ですが、中に神戸牛がたっぷりと詰まっています。
神戸牛という名前と価格のプレッシャーから食べるのに少し緊張ししまいますね。
通販用の餃子は冷凍するため皮は店内で作っているものとは異なりやや薄め。
旨味がギュッとつまっているのに、癖がなく意外とあっさりしています。
餡はとても美味しいのですが、皮が餡に負けちゃっている感はありました。
この辺が通販ターゲットにした餃子の難しいところかもしれないですね。
そしてもう一つ新作の餃子「野菜餃子」。
ただの野菜餃子じゃありません。
大豆ミートを使って、肉餃子っぽい風味の餃子に仕上げているそうです。
ベジタリアンの人でも食べ応えのある餃子が食べられます。
まだまだ、認知度が低いため数は出ていないらしいですが、多様化するニーズに応えようとする取り組みは応援したいですね。
大豆ミートってかなり肉っぽいんですね。
若干ジューシーさが少ない感じはありますが、黙って出されたらわからないかもしれません。
食品加工技術の進化に驚かされます。
シンプルな味付けなので、みそダレとの相性もとても良かったです。
餡もタレも大豆から作られているので、合うに決まってますよね。
今回は、いろいろと試食もさせていただき、更には頃末さんにもお仕事の合間に色々と昔のお話を聞かせてもらい大変贅沢な時間を過ごさせていただきました。
老舗ののれんを守りながらも新たなチャレンジを続けている姿は素敵ですよね。
これからもささやかながら応援をしたいと思います。